ばい菌
ばい菌

森永乳業Presentsラクトフェリンと食中毒について知ろう。


そもそも食中毒って何?

夏が近づくと食中毒を警戒する子育てママも多いはず。
小さい子どもほど重症化しやすい食中毒。
何とかしてシャットアウトしたい・・・
でも、どうやって?家族みんなで健やかな夏を過ごすために、
まずは食中毒とは一体何かを正しく知ることからはじめましょう。

有毒物質が含まれた飲食物を摂取して起こる中毒を「食中毒」と呼びます。その主な原因は細菌とウイルス。ここでは主だった食中毒菌の種類と特徴についてご紹介します。

カンピロバクター
気をつけたい食品
食肉(特に鶏肉)、飲料水、生野菜など
症状
頭痛・倦怠感・発熱のあとに腹痛・激しい下痢・嘔吐など。感染から発病までは1~7日と長い
特徴
あらゆる動物が保菌しているが、通常の加熱調理で死滅させることができる
腸炎ビブリオ
気をつけたい食品
魚介類(刺身、寿司、魚介加工品)
症状
激しい腹痛と下痢、嘔吐、発熱など。潜伏期間は8~24時間だが、2~3時間で発病するケースも
特徴
海中に住み、夏季に増殖。しかし真水では増殖せず、酸に弱いことも知られている

サルモネラ
気をつけたい食品
生肉、特に鶏肉と卵など
症状
激しい腹痛、下痢、発熱、嘔吐。感染から発病まで6~72時間
特徴
肉・卵は十分に加熱(75度以上で1分以上)することで死滅させることが可能。卵の生食は新鮮なものに限る
ウェルシュ菌
気をつけたい食品
カレー、煮魚、野菜煮付など多種多様の煮込み料理
症状
主な症状は下痢と腹痛。感染から発病まで6~18時間
特徴
人や動物の腸管や土壌、下水に広く生息。熱に強く、酸素に弱い。1事例当たりの患者数が多く、しばしば大規模発生する

腸管出血性大腸菌
気をつけたい食品
肉類とその加工品(焼肉等)、生野菜、漬けものなど
症状
下痢、発熱。重症化すると激しい腹痛と血便などを伴う。脳症などの重傷合併症も。感染から発病まで数日~8日
特徴
牛や羊など反芻動物が保菌。O157はこの腸管出血性大腸菌の1種で、人から人へ感染することもある
セレウス菌
気をつけたい食品
ピラフなどの米飯類、パスタなどの麺類、食肉、野菜、スープ、弁当など
症状
嘔吐型と下痢型がある。嘔吐型は感染から発病まで30分~6時間、下痢型は8~16時間。日本では嘔吐型が多い
特徴
土壌などの自然界に広く生息。米飯や麺類を作り置きしないことが感染予防に役立つ

ボツリヌス菌
気をつけたい食品
缶詰、瓶詰、真空パック食品(からしれんこん)、レトルト類似食品、いずし(飯寿司、飯鮨)
症状
吐き気、嘔吐、筋力低下、脱力感、便秘、神経症状(視力障害や発声困難など)。感染から発病まで8~36時間
特徴
土壌中や河川、動物の腸管など自然界に広く生息。発病は少ないが、発生すると重篤になる
黄色ブドウ球菌
気をつけたい食品
おにぎりなどの穀類加工食品、弁当、調理パンなど
症状
吐き気、嘔吐、腹痛、下痢。感染から発病まで1~5時間
特徴
人や動物に常在。熱にも酸にも強いが、調理者の手・指から感染するため要注意

数ある食中毒の原因菌。そのトップは?
食中毒の原因となる菌の内訳をみると、カンピロバクターが発生件数・患者数ともに突出しています。一方、ウェルシュ菌の発生件数はさほどでもありません。しかしそれにも関わらず患者数が多いのは、一度に大人数の調理を行った場合に発生しやすいためです。


◎引用文献:厚生労働省「平成25年病因物質別月別食中毒発生状況」

さまざまな種類の菌が引き起こす食中毒ですが、共通しているのは梅雨から夏にかけて多く発生するということ。
食中毒菌の多くは気温10度以上で活発になり、人の体温くらいの温度下で増殖スピードが最大になります。
さらに菌の多くが高温多湿な環境を好むため、日本の夏は絶好のシーズン。
たとえばカンピロバクターは真夏に多少減りますが5~6月と9月に発生件数のピークを迎え、サルモネラは7~8月がピーク、O157のピークも真夏です。
近年都市部で多く発生している「アニサキス」という寄生虫による食中毒も、夏場に多く発生しています。近年は温暖化の影響で5~9月まで夏の陽気が続くことを考慮すると、食中毒のシーズンは年々長くなっているといえそうです。


◎引用文献:厚生労働省「平成25年病因物質別月別食中毒発生状況」


子どもは腸内フローラ(※)の発達が未熟で菌が容易に増えやすいため、食中毒菌への感染で重症化することがあります。
O157やサルモネラには死亡例もあり、そのリスクが高いのはやはり子どもや高齢者。
体力がないため、嘔吐や下痢が続くと短時間で脱水症状に陥ることも。また腸内だけではなく血管の中に菌が入ることも起こりやすく、大人よりも重い症状で病院に運ばれてくるケースが多くみられます。

※腸内フローラとは
人の腸内では多様な種類の菌が関わり合いながら、複雑な生態系をつくっています。この微生物の集まりを植物の群集(フローラ)に似ていることから「腸内フローラ」と呼んでいます。


「食中毒は飲食店や学校給食で発生するもの」というイメージをお持ちの方もいらっしゃるかもしれませんが、全国の家庭内で食中毒は発生しています。細菌類は私たちの暮らしのいたるところに存在しているため、特に食事の準備を担当するお母さんは要注意です。

まな板と包丁に注意!
肉を切った後、洗わずにサラダの野菜を切ると、肉に付いた細菌がサラダと一緒に口の中へ・・・。
冷蔵庫は常にスッキリ整頓
ギッシリと詰まった冷蔵庫は温度が下がりにくくなります。そのため夏季には細菌が増殖する温床に。

手洗いを忘れずに
調理者が気づかないうちに菌に触れてしまい、あちこちにばら撒いてしまうことも。
何気なく触れたスマホにも
レシピ閲覧などスマホは確かに便利ですが、操作しながらの調理は細菌が広がる危険を伴います。

トイレよりも菌が多い!?
スポンジやシンクには菌がいっぱい!シンクに付着した菌の量はトイレの便座よりも多いとか。
煮込んでも死なない菌がある?
煮物料理に多いウェルシュ菌の芽胞。100℃の熱にも耐えるため「熱を通したから安心」ではないのです。

食材を放置しないで!
魚介類や肉、生野菜、置いてあったご飯にも菌が!生ものでなくても食材は必ず冷蔵庫へ!
鉄板焼きにもこんな危険
鉄板焼きだからといって油断してはだめ!生肉に触れた箸に、菌が付着している可能性があります。扱いには十分な注意が必要です。


よく「カレーは2日目がおいしい」といいます。しかし時間が経ちカレーのうま味が増すと同時に、菌も増えている可能性があります。ウェルシュ菌は酸素が苦手なため、カレーやあんかけのようにドロッとした環境下でどんどん増殖。この菌は非常にタフで、100度で4時間加熱しても死滅しません。消毒薬も効かないのです。安全性を考えると、調理後すぐに食べた方が良いでしょう。カレー同様、食べ物の見た目やニオイに異常がなくても食中毒にかかることがあります。腐っていなくても菌が増殖していることがあるためで、「食中毒」と「腐敗」はまったく別のものだということを覚えておいてください。


2011年8月、自宅で生卵を食べた女性がサルモネラによる食中毒で死亡するという事件が発生しました。 サルモネラによる食中毒は100万個以上の菌がないと発症しないため、冷蔵庫できちんと保存していれば通常は生で食べても問題はありません。この食中毒事件の卵の保存状況は明らかになっていませんが、食べ残された料理や冷蔵庫内に保管された卵の殻の表面、卵パックの内側などからサルモネラが検出されました。自分でどんなに注意していてもリスクはどこに潜んでいるか分かりません。いつでも菌に対抗できるように、免疫力を高めておくことが重要なのです。


たとえ重症化していなくても、熱や腹痛、下痢、嘔吐などの症状は辛いものです。
そんなとき、市販の下痢止めを服用する方もいらっしゃると思います。
しかし腸の動きを止めてしまうタイプの下痢止めは、食中毒菌を長く腸内にとどめる結果になってしまい、逆に症状を悪化させることもあるのです。
一方、整腸剤と呼ばれる薬は主に生きた善玉菌を含んでおり、バランスの乱れた腸内フローラを整える作用を持ちます。食中毒の発生時に整腸剤を処方するお医者さんが多いのは、そういう理由からなのです。


食中毒の統計に出ている患者数は集団発生の場合に限られ、家庭で子どもが感染したような小規模なものはほとんど数字に含まれていません。
仮に下痢症状を起こした患者すべての原因を究明すれば、食中毒の患者数は桁違いに増えるといわれています。国の統計によると、2011年の食中毒の患者数は2万1616人。
しかし厚生労働省内に設置されている「食品衛生分科会」のデータによると、2011年の全国でのカンピロバクター推定感染者はおよそ347万人、サルモネラの推定患者数はおよそ71万8000人に上るとされています。
小規模感染は家庭料理によるものが多いと考えられているため、各家庭での予防対策がカギを握っているのです。




  • チェック